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K城先生よりメールに返信

○○さま
お世話になっています。出陣式当日の写真をお送りいただきありがとうございました

K村さんからも楽しい会社を紹介してくれてありがとうというメールが来ました私も当然のことながら、スタッフの皆さんが気分よく仕事をされているのが感じられ良い会社とかかわりあったことをうれしく思っています。また展覧会中はいろんな情報をくださいましてお心づかいに感謝しています。

○○さんの写真(一期一会のシリーズのこと)はいつかまとめられることがあるのでしょうか?モデルになった人のパーソナリティーが伝わるすごくいい写真だと思うのでそんな日を心待ちにしているのですが かってな考えですが撮影された方(被写体)の肖像権OKサインとか○○さんが写真をさしあげた折のお礼の文とかがいっしょに載っていたらおしゃれだなと思いました 父の写真のプリントの裏にくださったカメラマンのサインが
あってそれがすごく私に感動を与えたことがありました 70年も前の出来事なのに写した方の存在が身近に感じられ写真の力を再認識しました

〜返信〜

いつもいつもK城先生のお言葉にはありがたいヒントがいっぱいあって感謝・感謝です。僕自身にセンスが無いので、先生と出会ってから僕は先生のセンスを吸収し、それが力になって、自分の作品や仕事でいかせていて本当に感謝です。今日は来週からの休み無しの繁忙期、出張が始まるので最後のお休みで久しぶりにノンビリしております。明日から1泊で妻と毎年この最後のお休みで行く京都へ写真を撮りに行ってきます。行ける時は1月と4月そして7月には京都へ行きます。秋はさすがに休みは取れないので行きません。会社を退任したらまっさきに秋の京都へ行こうと夢見ております。そんな今日なので長く語ります。お返事はいただけなくても結構です。なんだか語りたいそんな今日なものですから…

「○○さんの写真はいつかまとめられることがあるのでしょうか モデルになった人のパーソナリティーが伝わるすごくいい写真だと思うのでそんな日を心待ちにしているのですが」

今、思えば一期一会シリーズは1994年、上野の文楽というガード下の焼き鳥屋さんの屋台のカウンターで始まりました。(ほとんど路上にビールケースの椅子とテーブルを置いてある店です。)東京都美術館に視点という写真展をMeちゃんと見に行った帰りです。当時買ったばかりのLeica M6に標準レンズを首から提げて肩にはNikon FMに超広角付けてMeと見てきた写真展を熱く語っていたら、僕の隣で飲んでいた親爺さんが僕らの話に入ってきました。「君はなんで写真を撮る?君は何を写真に撮る?」と僕に問うのです。店員さんが「○○さんは飲み過ぎているから係わらない方がいいですよ。」と忠告してくれたのですが…せっかく声をかけてきてくれたので僕は「僕は人が好きだから人を撮ります。今は貴方の今を撮ります。いいですか?」と言ってシャッターを切りました。親爺さんは「こんな汚い飲んだくれのジジィを撮って何が楽しい?こんな生活に苦しくて、こんな安酒を飲んで気を紛らわせているジジィを撮って、ぴゅ〜なんとか賞(ピューリツア賞)でも取ろうってか?」といいます。僕「僕は貴方は人として美しいと思うから撮るのです。美しいものを撮りたいのです。その生活感がしみ出た手が美しい。今日一日仕事をして汗染みしたシャツの汚れた襟が、家族のために一生懸命働いた証が美しい。そう思います。その僕の思いがこの1枚に写って表現出来たら僕は幸せです。賞なんていりません。今日はおとうさんに会えて、それでいいのです。」それから親爺さんと3人で飲んでいろいろ語りました。最後に親爺さんはそろそろ先に帰ると別れました。
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1995年は函館の市場で「おでんやさんの老夫婦」と出会いました。何時間も老夫婦の話を聞きながらおでんで一杯飲みました。二人のなれ初めから今日までの歴史を聞きました。そんな二人を写真に撮ってもちろんプリントして送りました。礼状が来ましたが…今は屋根裏の箱のなかです。きっと店に飾ってくれたと思います。函館は仕事で行く機会がないのですが2013年にまた行くチャンスがありましたので空いた時間に記憶を頼りに老夫婦のおでんやさんを探しました。もう店は無くなっていて近くの古そうな店に入り聞いたら、震災で津波にあって店は閉めたのだそうで…しかもお父さんのほうはすでに他界し、おかあさんは介護施設に入っているということでした。1995年に撮った二人の写真を新しくプリントして持ってきたのですが渡せませんでした。
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2013年に初めて高岡という場所に出張で2泊しました。駅前に古い洋食屋さんがあって昼を食べたのですが、今はあまりメニューに無いポークピカタが懐かしくて美味しくて…この店も老夫婦が仲良く、あうんの呼吸ですごく息の合った料理をします。あまりその光景が素敵だったので頼んで撮らせてもらいました。夜は毎晩接待があったので、昼は必ずこのキッチンでいただきました。北陸新幹線開業の再開発で移転しなければならないので、もう年齢的に新しいところで店をやるのは億劫だから36年続けてきた店をやめると決心していたようです。そんな話を聞いていたらお客が入ってきました。子供連れの若い家族です。「この店止めるやって?」若い父親が言います。お母さん「お盆でやめるんよ。」お父さん「もうきついしな。」お客「お父さん幾つになってん?」お父さん「もう75歳じゃ。○○は幾つになった?」お客「35歳だよ。」お父さん「おまえさんは子供の頃からずっと来てくれているからな。おまえさんより長くこの店やってきたけど…もう止めるんよ。」お客「何年じゃ?」お母さん「36年よ。もう十分よ。」お客「高岡でこのキッチンひらた知らんやつはおらん。それほどの店やのに残念よの~もうお父ちゃんの料理食べれんのかい。淋しいよの~」なんて光景があって、僕はその店の在りし日の姿をコラージュ写真にして額に入れて贈りました。2〜3日して電話がありました。「自分が残したいと思っていた店の雰囲気がすべて一枚に描かれていて、嬉しいです。店の外観も、ちゃんと片づければいいのに片付いていないキッチンも…まさに私の36年を表しています。一生の宝物にします。店が終わったら自分の部屋にずっと飾ります。ほんとうにありがとう。」という内容で、またそれから2〜3日して礼状とデパートの商品券が送られてきました。8/11には店をしめるとのことでした。
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この夫婦は金沢都ホテルの地下でラーメン屋さんをやっている夫婦です。高岡のキッチンの件があったせいでか老夫婦が撮りたいのです。しかも、家でも仕事でもずっと一緒にいる夫婦です。すごいと思うのです。僕は昔沖縄が大好きで旅したことがあって、妻との新婚旅行も沖縄でした。本島と石垣島、西表島、小浜島へ行ったのですが、那覇を観光したときに守礼門の近くで老女が一人で済む家にあがりお茶をいただきました。90歳の老女の話は理解出来なく、案内してくれたタクシーの運転手さんが分かるよう通訳してくれました。「内地からいらしたのですか?新婚旅行で!でわ、結婚のはなむけに沖縄のことわざをあげましょう。○○○○○○○○○(原語は覚えていません。)意味は、夫婦は若いときにはあまりいちゃいちゃしてはいけません。離れて歩くこと。でも、年を重ねて70過ぎの老夫婦になったら、手をつないで堂々と歩きなさい。あなた達は本物の夫婦になっているはずだから!」というような話でした。今になってあの老婆が言った意味が分かってきたようです。だからこそ老夫婦の素敵な笑顔が撮りたいのです。
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これは去年の5月にパリへ行った時です。今年の写真展でも使いましたが、これは僕が一人で学生時代に住んでいたカルティエラタンのアパートを探しに行った帰りににわか雨にあってカフェで雨宿りした時の写真です。僕より前からこの夫婦はいたのですが、僕がセルヴーズにビールを頼むと英語で話しかけてきました。「あなた、ドイツから来ました?」僕「いえ日本からです。」「あなたが日本人であることは分かるけど、さっきセルヴーズにビール頼むときにアン(1)ビエールでなくアイン(1)ビアって言ってたって主人が言うの。だからドイツに住んでいる日本人じゃないかって…」ぼく「若いときに音楽を聴きにドイツやオーストリアを旅したのですが、フランス語より覚えやすくて…それに最近ドイツに仕事で行ったものですからついつい。」マダム「そうなんですか、私は日本が大好きなんですよ。日本語は分からないけど、若い頃夫婦で京都に住んでいたことがあるのよ。」そしたらそれまで黙って二人の会話を聞いていたご主人が日本語で「京都はいい。仕事で居たのですよ。私は日本も日本人も大好きなんですよ。もう年で旅行と言ってもせいぜいこのパリくらいしか来れないけど、もう一度行って見たいですね日本に。」しばらく京都の話をして「おや、雨があがったようですよ。私たちはホテルに帰る時間です。貴方に会えて良かった。楽しい会話の時間をありがとう。」

こんなふうにして一期一会シリーズは撮られていきます。なるべく撮らせてくれた人には住所を教えてもらいプリントして送ったり、名刺を渡したりしてはいますが、たいがいはまさに一期一会でもう二度と会えないことが多いのです。発表って、正直考えた事はないのですが、今、少し今年はJPS展に応募してみようかと考えています。若い頃は何度も挑戦しましたがダメで…僕は今のままでもいいのですが、会社のみんなのやる気を出させるためにもなるかとJPS会員になることを少しだけ考えています。みんなが続いてくれればいい!来年のJPS展公募に挑戦してみようかと思っています。問題は作品創りですね!がんばります。

「撮影された方(被写体)の肖像権OKサインとか○○さんが写真をさしあげた折のお礼の文とかが
いっしょに載っていたらおしゃれだなと思いました 父の写真のプリントの裏にくださったカメラマンのサインがあってそれがすごく私に感動を与えたことがありました」そんな意味も含めてこの事は前向きに考えたいと思います。いいアイデアをありがとうございます。
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長いついでに今僕を苦しめている事をお話しします。それは安保ですね。絶対に日本は戦争はダメです。どんな理由があっても専守防衛という今までの思想でいいと思います。この数日そんなことばかりで…そしたらK城先生からいただいた「遠い日への哀歌」の母君の短歌の一つが思い浮かびました。「東洋の 嵐よ早く 静まりて
         平和なる世界 住みてゆきたし」

まさにこれですね〜今はいいかもしれいけど、いずれきっと自衛隊も戦闘しなければならない局面が来ます。戦争なんですから、そしてきっと先生の母君のように悲しい思いをする人々が沢山でます。僕らはもう歳だからいいかもしれませんが、自分の子孫たちに正しい国を誇れる国を譲ってあげたいし、戦いと別れを経験させたくないです。最後に大好きなベッドミドラーという歌手の歌を。これがみんなの希望むことじゃないかと…(長くてすみません。お返事はいいです。)
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From a distance the world looks blue and green,
And the snow-capped mountains white,
From a distance the ocean meets the stream,
And the eagle takes to flight

遠くから見ると
地球は青く そして緑色に見える
雪を頂いた山々が見える
遠くから見ると
海と大河が出会い
ワシが羽ばたくのが見える

From a distance, there is harmony,
And it echoes through the land.
It's the voice of hope, it's the voice of peace,
It's the voice of every man.

遠くから見ると
ハーモニーが聞こえ
大地をこだましている
それは希望の声 平和の声
すべての人類の声

From a distance we all have enough,
And no one is in need.
And there are no guns, no bombs, and no disease,
No hungry mouths to feed.

遠くから見ると
誰もが満ち足りていて
何かを必要としている人はいない
拳銃もなく 爆弾もなく 病気もない
飢えて口を開けている人もいない

From a distance we are instruments
Marching in a common band.
Playing songs of hope, playing songs of peace.
They're the songs of every man.
God is watching us. God is watching us.
God is watching us from a distance.
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遠くから見ると
私たちは楽器で
みんなでひとつのバンドでマーチを奏でている
希望の歌を奏で 平和の歌を奏で
すべての人類の歌を奏でている

神様は私たちを見ている
神様は私たちを見ている
神様は私たちを見ている
遠くから

From a distance you look like my friend,
Even though we are at war.
From a distance I just cannot comprehend
What all this fighting is for.

遠くから見ると
君は僕の友達に似ている
今は戦争の敵兵だけれど
遠くから見ると
僕にはどうしてもわからない
この戦いが何のためなのか

From a distance there is harmony,
Aand it echoes through the land.
And it's the hope of hopes, it's the love of loves,
It's the heart of every man.

遠くから見ると
ハーモニーが聞こえ
大地をこだましている
それはみんなの希望 みんなの平和
すべての人類の心


And God is watching us, God is watching us,
God is watching us from a distance.
Oh, God is watching us, God is watching.
God is watching us from a distance

神様は私たちを見ている
神様は私たちを見ている
神様は私たちを見ている
遠くから
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by dancyouteinitijyo | 2015-07-18 18:59 | 文章 | Comments(0)


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