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幼なじみの父の通夜へ。

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珍しく電車で会社へ行く。昨日から国領の駅が地下に変わったので柴崎でなく国領へ行こうと思っていたが、すっかり忘れて柴崎で下車してしまう。
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なので昼は昼飯を食いがてら国領駅へどんなふうになったのか見に行く。何年もかかった工事だが最後は一晩で切り替えてしまうあっけなさ。
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夕刻は早引けして一旦家に帰り喪服に着替え代々幡斎場へ。幼なじみであり初恋の女性であり、家族ぐるみでお付き合いしていた家の父親の通夜だ。母と一緒に行く。昔懐かしいご近所さんたちがいっぱい来ていて「あら?○○ちゃん?随分と恰幅良くなったわね〜」とか「変わらないわね。」とか言われるがみな相対的に歳を取っていくわけで相変わらず僕は愛称の○○ちゃんのままなんだ。

初恋の女性というと違うかな?幼なじみで小学校〜中学校まで一緒に遊んだり、家族ぐるみで仲良くしていたので旅行へ行ったりもした女性だ。初恋は別の子だったんだけど、その子に失恋した頃ちょうど遊びに来た彼女に恋をしたんだ。ずーっと小さい頃から兄妹のように思っていたに、その日僕の家にクラッシックのレコードを聴きに来た彼女を見て恋をしてしまったのです。口には出せずに、何日も思った後手紙を書きました。

数日後家に彼女から電話があり「○○ちゃん。わたしでいいの?わたしでよければ…」というので「とりあえず今会えない?」と近くの喫茶店で交際の約束をしたものです。

何年か交際したのですが、僕は進学と自分の夢を優先するようになり、いつのまにか…別れてはいないのですが、なんかすごい希薄な交際になってしまい。自然消滅。

この前の8/6の通夜で同窓生たち何人かとはあったけど、彼女も仲間であるのに一度も同窓会には来ないしそういう付き合いからは疎遠なんだ。大学を卒業してすぐに結婚して名古屋へ嫁いだのでね。そのせいで今日は珍しく通夜で飲む仲間たちは1人しか来ていない。そんな事を考えながら式場で座っているであろう彼女の姿を探すと、大分見栄えは違うのだけど目だけが昔のままの彼女が僕をずっと見つめている。その目を見ていたら昔にタイムスリップして行く。僕らが交際していることは同級生達には秘密にしていた。一切気づかれないように待ち合わせはみんながいそうな街や場所をさけて、面倒なバスで銀座でデートしていた。映画を見たり珈琲を飲んで語ったり。クラシック音楽の話をしたり本の話をした。

いつか「わたしはこうして○○ちゃんと結婚するのね。」などと言っていて僕もそうなんだと思っていた。でも、僕は夢を追い続け、彼女は待っていれなかった。ある日彼女は僕を訪ねてきた。「わたし明日結婚するの。来てくれますよね。」という。少し前に彼女の母親と地元のマーケットで会ったときに「○○ちゃん!○○結婚することになったの。わたしはずっとあなた達が結婚すると思ってたし、そうして欲しいと思っていたのよ。○○も家ではいつも貴方のことばかり話していたし、結婚するって言っていたのに…」と言われていたので名古屋で結婚することは知っていた。もちろん招待状は僕には来る由もない。僕「え!」と驚いて、あれ?招待されているのかな?僕「とにかく家まで送って行く。歩きながら話そう。」2人で初めて地元を並んで歩く。微かに手が触れそうになる。そんなしているうちに自然に手を繋ぐ。明日他人のものになる初恋の女性と不思議な時間だ。「わたし今日は帰りたくないな〜このまま一緒にいたいな。」その不思議な時間はとまったように長く、夢を見ているような?今思えば夢だったのか?家にちゃんと送り届けたのか?

なんにしても次の日に僕は名古屋へ行く事も無く、何事もおこらなかったように彼女は結婚し僕の前から消えた。中学生の時に一緒に見た映画「卒業」しろって言いに来たのかな?そりゃあ〜あの時の貧乏学生の僕には無理だ。

それから1年。今の会社へ入ったばかりの頃だ。仕事で中野へ行こうと電車に乗ると「○○ちゃん!」と赤ん坊を抱いた女性から声をかけられる。彼女だった。「しばらくこっちへ帰って来ていて。」と笑顔で言う。そして僕がカメラを持っているのを見て「まだやめてないんだ?」僕「一応写真で喰っているんだ。」彼女「撮ってもらおうかな?」というので母子をCanon F1で撮る。「プリントして実家に届けておくよ。」

約束だから会社で大きくプリントした。で、自分で持って行くのもなんだから母親に今度会ったら渡しておいてと頼むと母「可愛い赤ちゃんね。男の子だわ。あれ?帽子に英字で名前が…」赤ん坊は毛糸の帽子をかぶっているのだけど手編みなのか英字で名前がある。母「あんたと同じ名前よ。○○ちゃん、よほど貴方のこと好きだったのね。自分で届けなさい。」僕は今更だし無理に母に頼んで名前の件も忘れる事にする。

それから何度も同窓会はあったのだけど名古屋で生活している彼女は一度も出ることはなく。十数年という時がたったある日。その日は街の祭りで息子と2人で縁日へ行く。妻はまだ娘が小さいので家で留守番だ。息子が射的をやるというのでベンチで見ていると「○○ちゃん!」と女性の声。大分ふくよかになった彼女だった。「あちらが息子さん?なんていう名前?あ!うちの子も来ているの。合わせるわ。赤ん坊の時しか見ていないでしょう?」彼女の息子が来た。なかなかいい男で僕を紹介されると礼儀正しくお辞儀する。僕もせっかくだから息子を呼んで紹介する。「これが叔父さんの息子○○○です。よろしく。」彼女「せっかくだから握手しなさい。」というと2人とも照れくさそうに左手を出す。「あれ?サウスポー?」というと彼女「○○ちゃんも左利きよね。わたしの彼は〜左利き!だものね。」2人の息子たちは縁日へ一緒に向かっていく。僕らはベンチに座り「太っちゃったでしょう?もう魅力無いただの叔母さんになっちゃったでしょう?こんな姿○○ちゃんには見せたくなかったな!」僕「そんなことないさ。僕だっておじちゃんだ。もう昔みたいに夢追いかけてないし…たまには同窓会顔だせよな。みんな会いたがっているよ。」そんな話をしていると子供らが戻ってくる。遠くから帰って来る様子を見るとまるで兄弟のように似た子たちだ。彼女「彼ね。ピッチャーやっているの。今度スカウトされて甲子園常連の学校に入るのよ。応援してね。」で、別れる。彼女の息子が小さい声で「あの人が…?」というのが聞こえる。多分昔話でもしていたのだろうな。

また何年かして噂で彼女の息子が甲子園の優勝投手になったことを聞いた。うちの子は野球はいっさいしないでサッカー三昧だけど…2人ともサウスポーね???なんか不思議な偶然で…そんな事を彼女の目を見ていたら瞬時に昔の記憶が蘇って来る。すぐに彼女の息子を捜す。33歳になっているはず…見つける事は出来なかった。ま!いいか。今更確かめることも無いか!夢なんだよ夢!すべて夢。現実に生きなきゃね〜と、後ろ髪引かれながらも式場を出る。母「あれ?帰っちゃうの。もうすぐ親族も出てくるし○○ちゃんに会っていけば?貴方が通夜に来るっていったら会いたいなあ〜でもこんな叔母ちゃんの姿見せたくないなあ〜複雑!っていっていたわよ。」僕「もう顔見たからいいさ。」
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真っ直ぐ帰るのもなんだからタクシーで代々木へ出て&jeuへ。店はガラガラでnanamiちゃん「あれえ〜珍しい格好?何?」と僕の喪服を見て言う。僕「告別してきた。昔の彼女にね!昔の想い出にね。」nanami「何それ〜」僕「初恋の人の父親の通夜だよ。ついでに34年前に言えなかった別れを告げてきた。」nanami「大人って大変ですね。今度わたしね〜ここ辞めてネイルサロンで働くんです〜来て下さいね!って来るわけ無いか!」僕「辞めちゃうんだ〜」nanami「わたしがやめても&jeuには来て下さいね。」僕「もちろん!でも寂しいな!じゃあ今日は飲むか!いろいろな別れに乾杯だ。」
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by dancyouteinitijyo | 2012-08-20 20:40 | 文章 | Comments(0)


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