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高岡キッチンひらた

寝たのが5時で起きたのは7時な感じですが、顔を洗って目をさまし…まずは別の現場に電車で行く。(たいがい出張すると遊びもしたくて睡眠時間はめいっぱい削る事が多いです。まあ昨晩は雷のせいですが…海外遠征だと睡眠3時間半にしちゃうこと多いですね。)

今日は午後にまた昨日のお客様が高岡へ来て観光案内してくれるという。なんでその待ち合わせまで一仕事して高岡へ戻ってくる。昼は食べてくるというので僕も早めに済ましておこうと駅前にあった洋食屋さんへ行く。「トンカツ&ランチ キッチンひらた」だ。着いた日に見つけて気になっていたのです。どうみてもこの店がある駅前飲食店街と書かれたビルは、近いうちに取り壊しそうな様子です。ほとんどの店がシャッターを閉めていますが、この「ひらた」と隣の「中国料理 李白」と夜になると「フィニッシュはお口で」と書かれた「Pure Girl」というピンキャバ(多分)しか営業していないようです。なんか人気が無さそうな店ですが「人気メニューヒレカツ定」という看板に誘われて薄暗いドアをあけて中へ入る。

がーーーん。。。外から見たら静かだしガラガラと思ったらほぼ満席。やっとカウンターに空きを見つけ手刀を切って座る。カウンター満席、座敷は2つありそれぞれテーブルが2つあるがすべて満席。すごいなあ~で、メニューを見ていると「サービス定食」「Bランチ」とお客が注文している。出来上がりを厨房から「はいB定ね。」とカウンターへ。食べている人を見るとほぼみんな同じ物だ。ヒレカツに惹かれて入ったのだけど僕「すいません。Bランチと生ビール。」隣の人もBランチだった。お父さんが作る。お母さん(少し若いな。10歳くらい離れてる夫婦?)も手際よく盛りつけをしてお客に出す。なんか見ていて気持ちが良いです。しかもお母さんは常に笑顔を絶やさない。僕の所に「はい。おビール。」僕「忙しいのにすみませんね。」(生ビールなんて頼んじゃって…って気持ちから。」お母さん「なんの~」と笑顔。気にしないでって意味だろう。
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お客が帰る。するとまたお客が入ってくる。外で待っているのだろうか?席が空くことが無い。なんかこの閑散とした街のここだけが人だらけだ。一昨日、昨日と夜飲みに行った店もまあ~人はいたが…これほどは?「A定」「B定」とこの二つが注文が多い。特にBが圧倒的だ。1人だけ瓶ビールのお客さんはカツカレーだ。「Bランチ」と言われるとお父さんは海老に衣をつけてフライヤーに入れ、フライパンで肉を焼き始める。海老が揚がるとフライヤーから取り出し、フライパンの肉に溶き卵をたっぷりかける。で、しばしすると肉を返しまた溶き卵をかけて蓋をする。オーブンからハンバーグを出し、お母さんがキュウリとキャベツと付け合わせのナポリタンを盛った皿に海老フライと一緒に盛る。お母さんがドレッシングと何かの調味料をキャベツにかける。お父さんはハンバーグにソースを海老フライの横にマヨネーズをかける。フライパンから香ばしい玉子の焦げた匂いのポークピカタを付け合わせのナポリタンの上に載せて、カウンターごしに僕に渡す。「はいBランチ」そこへお母さんがご飯と味噌汁を持ってくる。僕「すいません生もう一つ。」

なにしろ2人でナイスなコンビネーションプレイだ。A定は僕の近くでは頼んでいる人が居ないので良くは解らないがコロッケとハンバーグらしい。どうもA定はナポリタンが倍の量。ちょいとそっちも良かったかな?まず僕はポークピカタを一口。凄く美味しい。玉子にはほとんどつなぎを入れていないのでオムレツのようだ。豚肉はヒレを使っているらしく柔らかく美味しい。玉子の焦げ具合がいいので香りがとてもいいのです。しかも絶妙な塩梅の塩加減。いやあ~美味い。次はハンバーグ。挽肉の回りに小麦粉を付けて焼いているのでちょっとメンチカツのようにも見える。両面焼いたのちにオーブンで仕上げるようだ。ソースも美味しい。海老フライも揚げ具合がいい。僕的には海老フライよりヒレカツがいいのだけど…さすがみんなが頼むだけはある。いやあ~美味しい。こんな店が東京にもあればなあ~しょっちゅう行くのに!僕が食べ終わるまでずっと満席のままだ。いやあ~きっと名物店だな。近年若い人たちにこの昭和な洋食が静かなブームだしね。難しい味でなくていいのだな。Bランチは1050円、Aは630円なんで客単価は間をとってだいたい800円くらいだろう。僕が見ただけでは30人が食していたので11:00~14:00まで少しペースダウンしたとしても25000円~30000円が昼のあがりだ。なかなか優良店だなと商売的な事を思う。(前から自分でこういう店か飲み屋をやりたいと思っていてね。なんか今の商売は今後期待できないしね~~)
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14:00に駅でお客様と待ち合わせ。このお客様とは東京では僕が観光案内し、こっちではお客様が観光案内をしてくれる。一応現職を引退してので時間があるからなんでね。歩いて高岡市内を夕刻までいろいろ案内して貰う。なんか観光地なんだろうけどどこも閑散としている街だ。浜松も福井もどんどんシャッター街が増えて活気がないのですが…ここも同じだなあ~夜はほかに宴席があるというので駅前でお茶して少し駄弁ってから別れる。で~僕はまだ夕は早いのでホテルへ行きシャワーを浴びる。こっちの陽射しは強いから今日はかなり日焼けして肌がピリピリとするので冷水をかけて冷ます。いい気持ち。その後時間潰しにスケッチを描いたりして…

夜はまたキッチンひらたへ行く。お客は少ない。昼の騒ぎは無くカウンターに2人ほど…僕「ヒレカツとハンバーグ定食と生ビール。」するとまた息のあった夫婦の妙技が始まる。お客が少ないしそんな姿をLeicaで撮らせてもらう。お父さん「あんた昼にBランチ食べたよな。」僕「あまりに美味しいんでまた来ました。ヒレカツ食べたくて。」お父さん「今日の昼は参ったなあ~息つく間が無い。昔は毎日あんな状態でいっぱいお客さんがきたものさ。今は滅多にないよ今日みたいなんわ。このあたり人が減ってね。でもね~あまり忙しいとこの歳になるときついよ。身体が痛くなる。もう75歳だからね~もうきつい。」僕「75歳には見えないですね。お若いですよ。」お母さん「でもね、歳だし今度のお盆で店しめるんですよ。」お父さん「ここのビル取り壊すやろ。だからもうやめるんよ。今更別の場所で新しく店出すのはつらい。お盆まででお終い。」僕「じゃあもう二度とこの味には会えないですね。寂しいなあ~僕が次に来るときはもう無いなんて…そう聞いちゃうと~お二人を写真に撮らせてもらいます。僕の大事な思い出に。」で2~3枚撮らせてもらう。
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僕「じゃあ心残りにならないように、単品で豚の唐揚げもお願いします。あと生ビールもう一杯。」そんなしていたらお客が入ってくる。子供連れの若い家族だ。「この店止めるやって?」若い父親が言う。お母さん「お盆でやめるんよ。」お父さん「もうきついしな。」お客「お父さん幾つになってん?」お父さん「もう75歳じゃ。○○は幾つになった?」お客「35歳だよ。」お父さん「おまえさんは子供の頃からずっと来てくれているからな。おまえさんより長くこの店やってきたけど…もう止めるんよ。」お客「何年じゃ?」お母さん「36年よ。もう十分よ。」お客「高岡でこのキッチンひらた知らんやつはおらん。それほどの店やのに残念よの~もうお父ちゃんの料理食べれんのかい。淋しいよの~」

そんな会話を聞き耳たてながら昼も食べたハンバーグ、初めて食べるヒレカツを味わう。美味い!「はい豚カラ」豚の唐揚げは醤油と生姜で味付けされてからあげているようだ。これまた美味い。でも一番はポークピカタだな!なんにしてもどれも美味しい。この味を後世に残せないものかな?無くしたくないな。僕の好きな店、好きな昭和の食べ物はどんどん消えて行く。ここもあと一月もしないで消えて行く。もちろん僕的世界遺産は決定なのだが…出会った瞬間に絶滅種とはね。とても悲しいことです。出来る事はこの味、雰囲気を記憶すること、そしてこの写真を残すことだ。そして語り継ぐことだろう。高岡に「キッチンひらた」ありき。僕「写真出来たら送りますね。」と言って会計し「ありがとね。」とお母さんの笑顔に送られて店を出る。ほんと美味しかった!高岡にこの時期来れてよかった。なんという瞬間に出会えたんだろう。おかげで僕が目指しているテーマ「一期一会なのだから…HAPPYを下さい。」にまた名作が一枚加わった。(また来年も写真展はこいつだなあ~)旅の終わりにいい思い出が出来たなあ~と、睡眠不足から明日も早いし寝てしまう。
by dancyouteinitijyo | 2013-07-27 08:20 | | Comments(0)


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